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2型糖尿病
ほとんど自覚症状が無いままに進行する「糖尿病」

2型糖尿病

【病態】糖尿病と呼ばれる状態とは

食事を食べますと、ごはんやパンなどの「炭水化物」が胃や腸で消化、吸収されて血液中にブドウ糖となって取り込まれます。各細胞は、このブドウ糖をエネルギー源として活動します。

この血液中のブドウ糖の量(血糖値)が高くなりますと、すい臓から血液内の糖を下げるホルモンである「インスリン」が分泌されてブドウ糖の消費が促進され、血液中のブドウ糖の値(血糖値)は下がります。血糖値は、このインスリンによって約70~120mg/dLという値にコントロールされています。

『糖尿病』とは、このインスリンの分泌や働きが何らかの理由によって障害が起きており、血糖値が下がらない状態のことを指します。

日本人の糖尿病はインスリン抵抗性の割合と比較して、インスリン分泌障害の割合の方が多いタイプの糖尿病です。

  1. インスリン分泌障害優位の2型糖尿病
    日本人や東アジアの人は元々インスリン分泌が少ない体質です。そのため小太りになり少しインスリンが効きにくくなった状態(インスリン抵抗性)になると容易に糖尿病が発症します。
  2. インスリン抵抗性優位の2型糖尿病
    欧米人に多いタイプです。インスリンの分泌能力は元々高いが高度の肥満によりインスリン抵抗性が増大して初めて糖尿病が発症します。インスリン抵抗性の増大は肥満に伴う内臓脂肪の蓄積や脂肪肝によって引き起こされます。最近は日本人でもこのタイプが多くなってきています。

【疫学】1型と2型の2つのタイプがある糖尿病

糖尿病薬を開始するときは単剤から投与し、副作用の出現や血糖低下作用を確認しながら、効果が不十分な場合は2剤目を検討していくという原則を重視する。

すい臓(ランゲルハンス島β細胞)でインスリンは作られますが、インスリンをまったく作り出すことができない糖尿病を「1型糖尿病」と呼び、分泌される量が低下している状態(インスリン分泌障害)とインスリンが効きにくくなっている状態(インスリン抵抗性)の糖尿病を「2型糖尿病」と呼びます。

糖尿病の95%はこの「2型糖尿病」で、40歳以上で発症する場合がほとんどです。日本人で糖尿病の治療を行っている人は約300万人で、医療機関へ通院していない「隠れ糖尿病」も含めると1,000万人の人が糖尿病であると言われています。

さらに、糖尿病の指標であるHbA1cが6.0~6.5%の人、「糖尿病予備軍」と言われる人を含めますと、2,000万人が該当するとされています。

糖尿病のリスクの一つが「加齢」であり、高齢になるほど患者数の割合は増加します。特に30代を超えてきますと、じわりと糖尿病が疑われる人の人数が増えてくるのが特徴です。

20代から乱れた生活習慣を送っていた場合、早い人では30代から糖尿病の疑いが出てまいります。

【原因】家族に糖尿病の人がいる場合には要注意

2型糖尿病は、遺伝子因子に加え「肥満」「過食(高脂肪食、高糖分食)」「運動不足」「ストレス」「加齢(40歳以上)」などの後天的要因が複合して発症します。

  1. 肥満
    インスリンは、ブドウ糖を細胞へと取り込み脂肪の生成を促進します。脂肪細胞はアディポネクチンと言うホルモンを出し脂肪の合成を促進、貯蔵していきます。体脂肪が増えて皮下脂肪や内臓脂肪にこれ以上貯蔵ができなくなりますと、このアディポネクチンが分泌されなくなりインスリンの働きを阻害します。
  2. 過食
    飲食により血液中のブドウ糖が増加しますと、すい臓からインスリンが分泌されて血糖値を下げようとします。高血糖状態が長く続きますと、すい臓のランゲルハンス島β細胞が働き過ぎで壊れてしまい、インスリンの分泌能力が低下します。
  3. ストレス
    ストレスがかかり緊張しますと、グルカゴン、アドレナリン、甲状腺ホルモンなどのホルモンが分泌されます。これらは血糖値を上げる働きがあるため、空腹状態でも血糖値が上がります。これは、大昔の狩猟時代の名残で、狩りでは緊張して筋肉を最大限に使うことからブドウ糖を大量消費するために血糖値が上がるとされています。
  4. 加齢
    加齢につれて、ブドウ糖の消費が弱くなることと同時に、すい臓ランゲルハンス島β細胞の機能が低下してインスリンの分泌が低下、血糖値が上がりやすくなります。特に、食後の血糖値が下がりにくくなります。

2型糖尿病では遺伝的素因(体質)に加えて、食生活、運動習慣といった部分が大きく影響しています。このため、家庭環境に左右される要素が多くあります。家族内あるいは親戚に糖尿病の方がいる場合には要注意であり、糖尿病の検査を頻繁に行うことをお勧めします。

【症状】糖尿病初期には自覚症状が無いサイレントキラー

日本人の死因の60%は、糖尿病をはじめとした生活習慣病が関わっているとされています。糖尿病が恐ろしいと言われるのは、初期には自覚症状が全く無い「無症状」で、病気だとは思わずに数年放置しますと、ありとあらゆる合併症を満載で発症してしまうことです。

血糖値が高い状態が続きますと、糖が血管内皮細胞に入り込み活性酸素を発生させます。この活性酸素が血管内壁を破壊し動脈硬化を引き起こします。

特に命を危険にさらす合併症は、「心筋梗塞」「脳出血」「脳梗塞」などの血管が傷つく疾患です。細い血管が障害されれば網膜症、腎症や神経障害を発症、さらに放置すれば太い血管にも障害が発生し心筋梗塞や脳梗塞となります。

糖尿病の初期症状

  • のどが渇く
  • 尿の回数が増える
  • 疲れやすくなる
  • 体重が減る

これらの症状は、必ずしも糖尿病に関連するものではないことから、見過ごされがちでもあります。このため病気であるとは思わず、忙しいから検査や受診をする時間が無い、などとそのまま放置されてしまいます。

【検査】糖尿病は早期発見、健康診断の活用

毎年行われる健康診断は、糖尿病を見つける最も一般的な方法です。

「糖尿病予備軍」や「隠れ糖尿病」は自覚症状が出ないことから、血液検査や尿検査でしかわかりません。早めに異常数値に気づけば、投薬や注射は必要なく食事療法や運動療法だけで改善します。

糖尿病の検査項目

  • 空腹時血糖検査(採血)
  • HbA1c(採血)*過去2か月の血糖の平均値
  • 75g経口ブドウ糖負荷試験(採血)
  • 尿糖検査(採尿)

また、食後血糖値を計測した際に、食事をして数時間が経過しているのに血糖値が落ちていない場合には、インスリンの分泌量が低下しているか働きが悪いことが考えられます。

健康診断などでこれらの数値を指摘された場合には、すぐにかかりつけ医もしくは最寄りの内科の医療機関を受診して、医師に相談しましょう。

【治療】糖尿病は治る病気になりつつある

2型糖尿病の治療の基本は、「食事療法」と「運動療法」により体重をコントロールして、インスリンの効きをよくすることです。

  1. 食事療法
  2. 運動療法
    「食事療法」と「運動療法」では不十分な場合には、経口薬や注射による治療を行います。
  3. 血糖降下剤(詳記別記)
  4. GLP-1受容体作動薬(経口剤、注射剤)(詳記別記)
  5. インスリン療法(詳記別記)

2型糖尿病は、インスリンの能力が低下することで発症することから、一度発症すると一生治らない病気と言われてきました。

ところが新潟大学の研究では、1%の患者で血糖値が正常近くまで改善し、投薬が必要ない寛解になったと発表しました。今や、糖尿病は「治らない病気ではない」と言われ始めています。

医師よりのコメント
尿に糖が出現したり血液検査で糖が多いと指摘されたり 多飲多尿がある場合は 速やかに医療機関に受診してください。
進行してしまうと治療の長期化や薬剤の多用をしなくてはならなくなります。日頃から不摂生な食事と運動不足は、万病の元となりますので、最近体重が増えてきた方は意識して減量に努めましょう。



     

港北メディカルクリニック 概要

院長
大澤 浩
標榜科目
内科、呼吸器内科、循環器内科、糖尿病内科、
消化器内科、アレルギー科、精神科
診療時間
午前 9:00~13:00 
午後 15:00~18:00
休診日
土曜日午後、日曜日、祝祭日
住所
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神奈川県横浜市都筑区
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